Always Look on the Bright Side of Life
さあやってまいりました新年度ということで
月蝕最新話 4月1日ブログ先行公開です!
5年の歳月を経て、ついに月蝕も今更新分から『 社 会 人 編 』に突入してまいりますので
今後ともよろしくおねがいしますということで!
追記から!ドウゾッ!!
~社会人編 前回までのあらすじ~
「皮肉だろう。あの頃の僕は働かずして、就労という概念を体現していたんだ」――時はXXXX年、自営業者の叔母の元で悠々自適なNEET生活を謳歌していたトウヤは、ひょんなことから金髪碧眼の美少女(男)を扶養するはめに。その毒舌少女(男)腹黒につき、近所の餓鬼や怪しい女に支えられ、どうにかこうにか子育てライフを送っていたが、その暮らしぶりは子供の散髪代さえ払えない始末。相方と元カノと友人(男)に言い寄られなんやかんやあって困窮の余り逃げ出した先、巡り合いしは見目麗しき絶世美人、真実の愛に目覚めトウヤは彼女を妻に迎え入れる。積年の夢を叶える為、街角にささやかながら愛の巣を、花開かせるのであった。
6-3
ミソラとタケヒロがハギの酒場までやってくると、隣に新しい店がオープンしていた。
清潔感のある白塗りの、こぢんまりとしたお店だった。ごちゃごちゃと乱雑な汚さのあるココウの町並みからは少し浮いている。……ハシリイから帰ってきた時には、こんな店、あったっけ。なかったような。レンジャーの家でひと悶着していた間にオープンしたのだろうか? だとしたらとんだ早業である。
二人は顔を見合わせて首を捻る。でもまぁ、そんなこともあるか。オープンしてしまったものは仕方ない。いまいち釈然としないまま、ひとまず看板の店名を見上げた。
『Salon de Cactus』――サボテンの店。
現地語が読めないタケヒロは、無論外国語も読めない。さろん・ど・かくたす、と読み上げたミソラに、ぽんと手を叩いて返した。
「サロン。じゃあ美容院か」
「そうみたい……」
無人の店内を覗き込むと、白い壁に明るい木目のフローリング板、観葉植物(但しサボテンではない)の緑。小綺麗にまとめられたシンプルで清潔感のある内装に、大きめな椅子と、壁に鏡が備え付けてある。美容院であることは間違いないだろう。
ここで切るか、と提案されて、ミソラは頷いた。おばさんに頼むつもりだったが、おばさんも素人だし決してうまくはないだろう、せっかく切ってもらうならプロの方がいい。
そっと扉を開ける。ミソラは緊張の面持ちで一歩踏み込んで、鼻をひくつかせて店外にとどまっているタケヒロを半ば強引にひきずりこんだ。
その時、爽やかな柑橘系の香りが肺に舞い込んできた。――広い。第一印象はそれだ。外からのこぢんまりした趣とは一線を画している。眩しすぎない照明が照らし出す店内は、自然に明るく開放的。どきどきと胸が高鳴ると言うよりは、どこかでほっとするような、居心地の良さが演出されている。まさに羽を伸ばせると言った雰囲気だ。シンプルだがお洒落な店だった。現代社会に凝り固まった心を解きほぐすボサ・ノヴァの調べが、心身のリラックスを誘引する。
リラックスしたミソラとガチガチに固まっているタケヒロが二人突っ立っていると、来店の気配を察したのか、店の奥から従業員が現れた。
細身ですらりと背が高い。お洒落上級者にのみ許される前衛的なデザインTシャツを、さらりと着こなす身のこなしだ。なかなかにセンスの良さを感じる。断じてイケメンではないが髪型等で清潔感を匂わせた。小さな客を見下ろし、威圧感を与えないよう優しく微笑む眼差しには、その職に見合った心配りがある。なるほど、素敵なお店に似合う、素敵な素敵な美容師さん。
ミソラのお師匠様だった。
「ほらやっぱりだよどうせそんなことだろと思ってたよあーあー!」
タケヒロはぎりぎり逃げ出さなかったができるだけ離れた位置に飛びのいた。構わずミソラはトウヤを見上げた。シックなウェストポーチにハサミと櫛と包丁とおたまを引っ掛けたトウヤは、サボテン柄のエプロンを着用している。トウヤは「やぁ」と爽やかにスマイル。満点のゼロ円スマイルである。
「ようこそ、サロン・ド・カクテュスへ」
「カクテュスですか? カクタスではなく?」
「ノンノン、カクテュス。『サロン・ド』というのはフランス語だ。だからCuctusもフランス読みに倣わなければならない。カクタスではなく、カクテュス」
とても良い発音だった。さすがはミソラのお師匠様である。
「でもキブツに行ったのではなかったのですか?」
「そーだそーだとっとと行っちまえー」タケヒロの遠巻きの声援。
「そう、そうなんだ。先程私的な感情で君たちに不快な思いをさせたことを、一人になってから僕は猛烈に恥じた。僕は僕がどんな人間でありたいのか、そのために僕が本当にすべきことは何か……真剣に考えた。そして気付いたんだ。僕は、そろそろ腰を落ち着けなければならない」
語るトウヤの目は、過去の自分――安住の地にのうのうと留まるだけの気楽な生活を脱ぎ捨てる一抹の寂しさも滲ませているが、それよりも強く輝くのは……未来への弛まぬ希望。希望という名の、光である。
「ここで店をやるよ。僕は――今日から働く」
彼の顔は、ミソラが見てきたどの表情よりも、澄み渡るように晴れやかだった。
……ミソラとタケヒロは、黙っていた。それから打ち合わせたように同時に、そっと視線を移ろわせた。ソファが置かれている広い待ち合いスペースに、大きな花環が飾られている。送られた言葉はこうだ。
『祝・ニート脱却 ハギのおばさんより』
「……」
「……」
「……」
「……あ、あぁ……そうか……」
納得したらしく、ミソラは暗い表情で呟いた。
「四月一日だ、今日」
「ん? あれ? いや今は夏だぞ? 八月くらいだろ」
「いや更新日がさ」
「更新?」
「ミソラ、お前を弟子に取ってやってもいいよ」
トウヤは得意そうに人差し指でハサミを回しながら言った。それをしくじって床に落とすところまで誠実に見届けてから、ミソラは腕を組んで唸った。
「悩みますね……」
「悩むなよ」タケヒロ。
「まずは助手として働かせて頂いてもいいですか?」
「もちろんだ」「前向きに検討すんなよ」ツッコミの方がタケヒロ。
その時、ミソラの背後のドアが開いて、男性客がやってきた。かなり大柄で体はごついが、顔はイケメンで髪型もキマっている。いらっしゃいませ、とトウヤはお洒落ボイスで言った。
その人に、見覚えがある――脳内に電流が走るような衝撃にミソラは襲われた。この感覚は、ハシリイでカナミを見た時と同じ。まただ。妙な既視感。顔を顰める。僕は、記憶を失っているはずなのに。
「僕は一体どうしてしまったんだろう……ねぇタケヒロ、誰だっけ、この人」
「グレンとかいう奴だろ」
「うっ頭が……グレン、過去に聞いたことあるような……僕の過去に関係している人なのかもしれない……」
「つーかちょくちょく話には出てきてたぞ? 本編に顔出しで登場するのは一年三ヶ月ぶりだけどな。超久々の出番がこの更新分って哀れだよな、全く」
二人が記憶喪失ごっこをしている間にグレンはモデル歩きで店内に入り、鏡の前で暫くイケメンポーズをキメると、華麗にターンしながらその内装を見回した(※久々の出番なので大きめのアクションで動いています) 。
「ついに就職したと聞いて来てやったぞ。なかなか良い店じゃないか」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
営業スマイルで返すトウヤに、グレンもまた爽やかに問うた。
「床屋か」
「美容院だ」
せっかくだからちょっと切ってもらおうか、とグレンは髪を掻き撫でる。茶色く乾燥質な彼の髪は(あまりにも出番がなかったので)確かに伸び気味だ、散髪し頃であるかもしれない。ここに、と示した椅子にグレンが「どっこらせ」と無駄に叫びながら座ると、トウヤは鏡越しにグレンの顔を見ながらカウンセリングを開始する。
「HOTにする? ICEにする? それとも、た・わ・し?」
何がだ。そう聞かなかったのは弟分の晴れ舞台に対するグレンの優しさである。飲み物でも出してくれるのだろう、グレンはHOTを頼んだ。三つめの選択肢はあえて無視した。
「HOTですね」
「お師匠様、私は何をお手伝いすればいいですか?」
「じゃあミソラにはHOTの準備を頼むよ」
「かしこまりました」
服の裾を軽く持ち上げ、西洋風の会釈。ミソラは愉快で愉快で仕方ないといった様子でぱたぱたと店の奥に向かっていく。タケヒロは観葉植物の影からそれらを呆れて眺めた。
「ノリノリじゃねえか、アイツ」
「タケヒロはノリノリでボサ・ノヴァを踊っておいてくれ」
軽い調子で言うトウヤに、タケヒロはむすっとして見せた。
「仕方ねぇな」
――軽やかなボサ・ノヴァの音楽に合せて、少年は優雅に舞い始める。さて、邪魔者は片付いたようだ。トウヤは視線を鏡の向こうへ戻し、グレンへのカウンセリングを再開する。
「本日はどのようになさいますか?」
「うーんそうだな」
「こちらがメニュー表になります」
言いながらトウヤが示したものをグレンは仰ぎ見た。
~メニュー表~
●パーマ
●カット
●パーマ
●パーマ
●カラー
●パーマ
●シャンプー
●パーマ
●眉カット
●眉パーマ
「……カットで」
「オプションでパーマはいかがですか?」
「どうしてもパーマがやりたいのはよく分かったが今日はいらん」
告げる声はやや苦々しい。トウヤは気分を害したでもなく了承し、続けて問うた。
「カットはどのように致しましょう」
そして客に答える隙を与えない速さで再びメニュー表を示した。
~メニュー表 Ver.2~
●スポーツ刈り
●角刈り
●剃り込み
●坊主
●5分刈り
●7分刈り
●73分け
●73パーマ
「……」
閉口したグレンの両肩に手を置き、トウヤはその耳元に顔を寄せると、囁くように言った。
「おすすめは、73パーマ」
グレンはその手を振り払った。
「73分けの64寄りで頼む、パーマは無しで」
「かしこまりました、シェフのきまぐれパスタ~季節の野菜を添えて~で」
早くも精神力の限界を感じ始めたグレンはもはや会話を放棄した。
「じゃあまずは頭を洗おう」
うぃんうぃんと言いながら背もたれが倒れはじめる。子供の頃行った歯医者さんの恐ろしい思い出が矢庭に蘇り、グレンは体を硬直させた。硬直して動けなくなったグレンの腕をトウヤは手早く後ろ手に縛った。それから足首も縛った。
「ん?」
それからグレンの体の横に季節の野菜を添えはじめた。
「ん? ん?」
「ミソラ、HOTの準備はいいか?」
「はい、お師匠様」
店の奥から、ミソラが何かをゴロゴロと押しながら登場する――沸騰したお湯がなみなみと張られた超巨大な鍋であった。成人男性でも余裕で入れそうな大きなサイズで、お風呂の代わりにもできそうだ。うぃんうぃんと椅子が自動で鍋の方へと近づきはじめる。縛られて身動きのできないグレンが、うぃんうぃんとお鍋に寄せられていく。
つまり。
「……、お、おいどういうことだ」
「ICEだったら――」
為すすべもなく運ばれていくグレンをシェフの顔で見下ろしながら、トウヤは爽やかに言い放った。
「冷製パスタだ」
「なるほど」
結局茹でるんじゃないか。じゃあたわしだったらなんなんだ、たわしだったら。あの時選択肢の意味を聞いていれば、その上でたわしを選んでいれば、生き延びられたかもしれない、そこまで考えてグレンは気付いた。たわしを選ばなかった俺は、茹でられて死のうとしているらしい。今ここで。
急激に肝が冷えた。なのに熱気が、熱気が凄い。
「おい離せ! クーリングオフだ! お前美容師免許持ってないだろ!」
ガタイの良いキャラポジションであるグレンの全身全霊を以てしても、拘束からは逃れられなかった。それでも暴れようとする彼に追い打ちをかけるように、視界にタケヒロが入り込んだ。そしてボサ・ノヴァを踊り狂った。
「ひいいいいいい」
強く、激しく、美しいボサ・ノヴァのリズム! 合わせて椅子が鍋の方へと傾き始めた。ぐつぐつぐつ。耳を沸騰音が掻き立てる。ぐつぐつぐつぐつぐつ。グレンの体がじわじわと湯の方へ滑り始める。必死に踵を引っかけて堪えているグレンの横を、季節の野菜が滑り落ちていった。ぐつぐつぼちゃっ。ぐつぐつぐつぐつ。ああ無情。抵抗するグレンを嘲笑うかのごとくお湯の中に塩をひとつかみ入れると、トウヤは低い声で言う。
「悪いなグレン」
ぐつぐつぐつ。ずりずり。熱された飛沫がここぞとばかりに顔に飛び掛かってくる。古今東西さまざまな美女との一夜のラブロマンスがグレンの脳裏を駆け巡った。走馬灯、である。
それでも彼が最期に聞いたのは、むさい男の一声であった。
「僕の客は、ずっと一人だけなんだ」
ぼちゃーん。
絶叫がしばらく轟いて、消えた。
*
おいしかったか? という甘やかしの声に、ハリはこくりと頷いた。その口元には、何とは言わないが、何らかの肉片がこびりついている。白いテーブルナプキンでそれを拭いながら、トウヤは微笑んで頷く。
「お前が喜んでくれてよかった。働き甲斐があるよ」
時刻は既に夕方だ。店内で起こることを見られないように大きな窓は取り付けられていないが、天井の四角い採光窓から注ぐ光は蜜色に近い。
トウヤは一旦店を出ると、ドアの取っ手に『CLOSED』の札を掛け、ふと軒先に掲げた店名を見上げた。
『Salon de Cactus』――サボテンの店。サボテンのためだけの店。
今日もいい仕事が出来た。満足気に微笑む。店内に戻ろうとドアを引いたとき、出し抜けに、「ちりんちりーん」と声がした。
呼び鈴はつけていないのに。振り返ると、そこには制服にローブ姿のレンジャーと、それに抱えられたチリーンが立っていた。
……目を細める。「ちりんちりーん」と言ったのはどうやら彼女らしい。トウヤはドアを閉め(再びレンジャーの「ちりんちりーん」)、掛けた『CLOSED』を指し示した。
「悪いな、今日はおしまいなんだ」
「そう。出番ないのは惜しいなと思ったんだけど」
ポケモンのトリミングもやってるんだって? そう問う彼女の胸元に抱かれたチリーンは、なるほど、もうもうと毛が伸び放題で、苔が生えて緑がかり、まりものようになっている。
知り合いの頼みなら仕方ない。トウヤは無駄にドアを開け閉めしてレンジャーに六回「ちりんちりーん」と言わせてから店内に招き入れ、毛まみれのチリーンを椅子に座らせた。
「整えたらいいのか?」
涎を垂らして大人しく目を見開いているチリーンの毛にハサミを入れる。それを背後で眺めながら、レンジャーはおもむろに腕を組み、まだそこに置いてあった巨大な鍋に軽く寄りかかった。
「あなた、トリマー資格持ってるの?」
軽快に響き続けていたハサミの音が、止まる。……トウヤは振り向き、客向けの表情で微笑みかける。が、目は笑っていない。
「持ってないよ。トリマーになるのに免許はいらないはずだ」
「じゃあ、美容師免許は?」
「いや? 僕は人の髪なんか切った事ないよ。ここが美容院だと、一度でも僕が言ったのか?」
捕まる寸前の犯人らしい台詞を吐き、トウヤはドヤ顔を浮かべた。レンジャーはカツカツと店内を歩くととある観葉植物の鉢植えの前に立ち、それを持ち上げて逆さにした。大量の土と共に観葉植物が根こそぎ床に放たれた。
鉢植えの上下を戻す。そして回す。……側面(鉢植えの中身、つまり罪のない観葉植物とは何ら関係がない)に張り付けてあった盗聴器を外し、その場で先刻の会話を再生させる。
「ついに就職したと聞いて来てやったぞ。なかなか良い店じゃないか」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
営業スマイルで返すトウヤに、グレンもまた爽やかに問うた。
「床屋か」
「美容院だ」
「美容院だ」
……トウヤは黙って微笑んだまま、大人しく手錠をかけられた。
レンジャーが手錠をかけたトウヤを連行する。屋外へ出ると、ミソラとタケヒロと『ドッキリ大成功!』の看板を手にした無傷のグレンが笑顔で待ち構えていたが、その前も普通に素通りした。
行く先にはカボチャの馬車ならぬチリーンの馬車が待ち受けている。それに乗りこませようとした時、突然トウヤが、笑い声を立てはじめた。
「ふふふふふふふふ」
異変を察してレンジャーが素早く抑え込もうとするが、遅い。ずるりと溶けた腕が簡単に手錠をすり抜けた。
レンジャーが悲鳴を上げ腰を抜かした。トウヤはぬるぬる溶けたかと思うと急激に光を放ち始めた。
「ふふふふふふふふっふふふ」
「お師匠様……!?」
ミソラが、タケヒロが、そして『ドッキリ大成功!』を掲げたままのグレンが、こぞって駆け寄る。駆け寄ろうとしたグレンが背後からチリーンに羽交い絞めされた瞬間――光に包まれ、次に現れしはオニドリル。トウヤだと思っていたものは、ずっとメグミだったのだ。
背景で無駄に関節技をキめられてもんどりうっているグレンはさておき、メグミは上下のくちばしを激しくカチカチさせながら笑っている。まさかの展開にタケヒロはボサ・ノヴァを踊った。一方でまさかの展開に顔面蒼白で心神喪失状態のレンジャーを庇うように、ここぞとばかりにミソラが前へ出た。主人公の本領発揮である。
「お師匠様を、どこへやったんだ!」
まさに主人公らしい台詞が決まった。びしっと決めポーズ。背景に稲妻が迸った。カチカチとしばらく笑い続けたメグミは、ふっと突然笑うのを止めると――世界の全ての真実を見透かすような愛らしい目で、ミソラを見据える。
この時ミソラは、まだ決めポーズを決めたままであった。……そして、知らないのであった。己を取り巻くこの更新分が、そのポージングが、いかに嘘だらけで、面白くもなんともなくて、故に恥を知れ状態であるのかを――
「いいよ。話してあげる。あれは、わたしとトウヤが結婚して間もない頃のことだった……――」
*****
本物は近いうちにまた更新するのでよろしくお願いします(小声
あと今年はひきものやらないので!宣言!別のイベントで本気出す!!!
月蝕最新話 4月1日ブログ先行公開です!
5年の歳月を経て、ついに月蝕も今更新分から『 社 会 人 編 』に突入してまいりますので
今後ともよろしくおねがいしますということで!
追記から!ドウゾッ!!
~社会人編 前回までのあらすじ~
「皮肉だろう。あの頃の僕は働かずして、就労という概念を体現していたんだ」――時はXXXX年、自営業者の叔母の元で悠々自適なNEET生活を謳歌していたトウヤは、ひょんなことから金髪碧眼の美少女(男)を扶養するはめに。その毒舌少女(男)腹黒につき、近所の餓鬼や怪しい女に支えられ、どうにかこうにか子育てライフを送っていたが、その暮らしぶりは子供の散髪代さえ払えない始末。相方と元カノと友人(男)に言い寄られなんやかんやあって困窮の余り逃げ出した先、巡り合いしは見目麗しき絶世美人、真実の愛に目覚めトウヤは彼女を妻に迎え入れる。積年の夢を叶える為、街角にささやかながら愛の巣を、花開かせるのであった。
6-3
ミソラとタケヒロがハギの酒場までやってくると、隣に新しい店がオープンしていた。
清潔感のある白塗りの、こぢんまりとしたお店だった。ごちゃごちゃと乱雑な汚さのあるココウの町並みからは少し浮いている。……ハシリイから帰ってきた時には、こんな店、あったっけ。なかったような。レンジャーの家でひと悶着していた間にオープンしたのだろうか? だとしたらとんだ早業である。
二人は顔を見合わせて首を捻る。でもまぁ、そんなこともあるか。オープンしてしまったものは仕方ない。いまいち釈然としないまま、ひとまず看板の店名を見上げた。
『Salon de Cactus』――サボテンの店。
現地語が読めないタケヒロは、無論外国語も読めない。さろん・ど・かくたす、と読み上げたミソラに、ぽんと手を叩いて返した。
「サロン。じゃあ美容院か」
「そうみたい……」
無人の店内を覗き込むと、白い壁に明るい木目のフローリング板、観葉植物(但しサボテンではない)の緑。小綺麗にまとめられたシンプルで清潔感のある内装に、大きめな椅子と、壁に鏡が備え付けてある。美容院であることは間違いないだろう。
ここで切るか、と提案されて、ミソラは頷いた。おばさんに頼むつもりだったが、おばさんも素人だし決してうまくはないだろう、せっかく切ってもらうならプロの方がいい。
そっと扉を開ける。ミソラは緊張の面持ちで一歩踏み込んで、鼻をひくつかせて店外にとどまっているタケヒロを半ば強引にひきずりこんだ。
その時、爽やかな柑橘系の香りが肺に舞い込んできた。――広い。第一印象はそれだ。外からのこぢんまりした趣とは一線を画している。眩しすぎない照明が照らし出す店内は、自然に明るく開放的。どきどきと胸が高鳴ると言うよりは、どこかでほっとするような、居心地の良さが演出されている。まさに羽を伸ばせると言った雰囲気だ。シンプルだがお洒落な店だった。現代社会に凝り固まった心を解きほぐすボサ・ノヴァの調べが、心身のリラックスを誘引する。
リラックスしたミソラとガチガチに固まっているタケヒロが二人突っ立っていると、来店の気配を察したのか、店の奥から従業員が現れた。
細身ですらりと背が高い。お洒落上級者にのみ許される前衛的なデザインTシャツを、さらりと着こなす身のこなしだ。なかなかにセンスの良さを感じる。断じてイケメンではないが髪型等で清潔感を匂わせた。小さな客を見下ろし、威圧感を与えないよう優しく微笑む眼差しには、その職に見合った心配りがある。なるほど、素敵なお店に似合う、素敵な素敵な美容師さん。
ミソラのお師匠様だった。
「ほらやっぱりだよどうせそんなことだろと思ってたよあーあー!」
タケヒロはぎりぎり逃げ出さなかったができるだけ離れた位置に飛びのいた。構わずミソラはトウヤを見上げた。シックなウェストポーチにハサミと櫛と包丁とおたまを引っ掛けたトウヤは、サボテン柄のエプロンを着用している。トウヤは「やぁ」と爽やかにスマイル。満点のゼロ円スマイルである。
「ようこそ、サロン・ド・カクテュスへ」
「カクテュスですか? カクタスではなく?」
「ノンノン、カクテュス。『サロン・ド』というのはフランス語だ。だからCuctusもフランス読みに倣わなければならない。カクタスではなく、カクテュス」
とても良い発音だった。さすがはミソラのお師匠様である。
「でもキブツに行ったのではなかったのですか?」
「そーだそーだとっとと行っちまえー」タケヒロの遠巻きの声援。
「そう、そうなんだ。先程私的な感情で君たちに不快な思いをさせたことを、一人になってから僕は猛烈に恥じた。僕は僕がどんな人間でありたいのか、そのために僕が本当にすべきことは何か……真剣に考えた。そして気付いたんだ。僕は、そろそろ腰を落ち着けなければならない」
語るトウヤの目は、過去の自分――安住の地にのうのうと留まるだけの気楽な生活を脱ぎ捨てる一抹の寂しさも滲ませているが、それよりも強く輝くのは……未来への弛まぬ希望。希望という名の、光である。
「ここで店をやるよ。僕は――今日から働く」
彼の顔は、ミソラが見てきたどの表情よりも、澄み渡るように晴れやかだった。
……ミソラとタケヒロは、黙っていた。それから打ち合わせたように同時に、そっと視線を移ろわせた。ソファが置かれている広い待ち合いスペースに、大きな花環が飾られている。送られた言葉はこうだ。
『祝・ニート脱却 ハギのおばさんより』
「……」
「……」
「……」
「……あ、あぁ……そうか……」
納得したらしく、ミソラは暗い表情で呟いた。
「四月一日だ、今日」
「ん? あれ? いや今は夏だぞ? 八月くらいだろ」
「いや更新日がさ」
「更新?」
「ミソラ、お前を弟子に取ってやってもいいよ」
トウヤは得意そうに人差し指でハサミを回しながら言った。それをしくじって床に落とすところまで誠実に見届けてから、ミソラは腕を組んで唸った。
「悩みますね……」
「悩むなよ」タケヒロ。
「まずは助手として働かせて頂いてもいいですか?」
「もちろんだ」「前向きに検討すんなよ」ツッコミの方がタケヒロ。
その時、ミソラの背後のドアが開いて、男性客がやってきた。かなり大柄で体はごついが、顔はイケメンで髪型もキマっている。いらっしゃいませ、とトウヤはお洒落ボイスで言った。
その人に、見覚えがある――脳内に電流が走るような衝撃にミソラは襲われた。この感覚は、ハシリイでカナミを見た時と同じ。まただ。妙な既視感。顔を顰める。僕は、記憶を失っているはずなのに。
「僕は一体どうしてしまったんだろう……ねぇタケヒロ、誰だっけ、この人」
「グレンとかいう奴だろ」
「うっ頭が……グレン、過去に聞いたことあるような……僕の過去に関係している人なのかもしれない……」
「つーかちょくちょく話には出てきてたぞ? 本編に顔出しで登場するのは一年三ヶ月ぶりだけどな。超久々の出番がこの更新分って哀れだよな、全く」
二人が記憶喪失ごっこをしている間にグレンはモデル歩きで店内に入り、鏡の前で暫くイケメンポーズをキメると、華麗にターンしながらその内装を見回した(※久々の出番なので大きめのアクションで動いています) 。
「ついに就職したと聞いて来てやったぞ。なかなか良い店じゃないか」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
営業スマイルで返すトウヤに、グレンもまた爽やかに問うた。
「床屋か」
「美容院だ」
せっかくだからちょっと切ってもらおうか、とグレンは髪を掻き撫でる。茶色く乾燥質な彼の髪は(あまりにも出番がなかったので)確かに伸び気味だ、散髪し頃であるかもしれない。ここに、と示した椅子にグレンが「どっこらせ」と無駄に叫びながら座ると、トウヤは鏡越しにグレンの顔を見ながらカウンセリングを開始する。
「HOTにする? ICEにする? それとも、た・わ・し?」
何がだ。そう聞かなかったのは弟分の晴れ舞台に対するグレンの優しさである。飲み物でも出してくれるのだろう、グレンはHOTを頼んだ。三つめの選択肢はあえて無視した。
「HOTですね」
「お師匠様、私は何をお手伝いすればいいですか?」
「じゃあミソラにはHOTの準備を頼むよ」
「かしこまりました」
服の裾を軽く持ち上げ、西洋風の会釈。ミソラは愉快で愉快で仕方ないといった様子でぱたぱたと店の奥に向かっていく。タケヒロは観葉植物の影からそれらを呆れて眺めた。
「ノリノリじゃねえか、アイツ」
「タケヒロはノリノリでボサ・ノヴァを踊っておいてくれ」
軽い調子で言うトウヤに、タケヒロはむすっとして見せた。
「仕方ねぇな」
――軽やかなボサ・ノヴァの音楽に合せて、少年は優雅に舞い始める。さて、邪魔者は片付いたようだ。トウヤは視線を鏡の向こうへ戻し、グレンへのカウンセリングを再開する。
「本日はどのようになさいますか?」
「うーんそうだな」
「こちらがメニュー表になります」
言いながらトウヤが示したものをグレンは仰ぎ見た。
~メニュー表~
●パーマ
●カット
●パーマ
●パーマ
●カラー
●パーマ
●シャンプー
●パーマ
●眉カット
●眉パーマ
「……カットで」
「オプションでパーマはいかがですか?」
「どうしてもパーマがやりたいのはよく分かったが今日はいらん」
告げる声はやや苦々しい。トウヤは気分を害したでもなく了承し、続けて問うた。
「カットはどのように致しましょう」
そして客に答える隙を与えない速さで再びメニュー表を示した。
~メニュー表 Ver.2~
●スポーツ刈り
●角刈り
●剃り込み
●坊主
●5分刈り
●7分刈り
●73分け
●73パーマ
「……」
閉口したグレンの両肩に手を置き、トウヤはその耳元に顔を寄せると、囁くように言った。
「おすすめは、73パーマ」
グレンはその手を振り払った。
「73分けの64寄りで頼む、パーマは無しで」
「かしこまりました、シェフのきまぐれパスタ~季節の野菜を添えて~で」
早くも精神力の限界を感じ始めたグレンはもはや会話を放棄した。
「じゃあまずは頭を洗おう」
うぃんうぃんと言いながら背もたれが倒れはじめる。子供の頃行った歯医者さんの恐ろしい思い出が矢庭に蘇り、グレンは体を硬直させた。硬直して動けなくなったグレンの腕をトウヤは手早く後ろ手に縛った。それから足首も縛った。
「ん?」
それからグレンの体の横に季節の野菜を添えはじめた。
「ん? ん?」
「ミソラ、HOTの準備はいいか?」
「はい、お師匠様」
店の奥から、ミソラが何かをゴロゴロと押しながら登場する――沸騰したお湯がなみなみと張られた超巨大な鍋であった。成人男性でも余裕で入れそうな大きなサイズで、お風呂の代わりにもできそうだ。うぃんうぃんと椅子が自動で鍋の方へと近づきはじめる。縛られて身動きのできないグレンが、うぃんうぃんとお鍋に寄せられていく。
つまり。
「……、お、おいどういうことだ」
「ICEだったら――」
為すすべもなく運ばれていくグレンをシェフの顔で見下ろしながら、トウヤは爽やかに言い放った。
「冷製パスタだ」
「なるほど」
結局茹でるんじゃないか。じゃあたわしだったらなんなんだ、たわしだったら。あの時選択肢の意味を聞いていれば、その上でたわしを選んでいれば、生き延びられたかもしれない、そこまで考えてグレンは気付いた。たわしを選ばなかった俺は、茹でられて死のうとしているらしい。今ここで。
急激に肝が冷えた。なのに熱気が、熱気が凄い。
「おい離せ! クーリングオフだ! お前美容師免許持ってないだろ!」
ガタイの良いキャラポジションであるグレンの全身全霊を以てしても、拘束からは逃れられなかった。それでも暴れようとする彼に追い打ちをかけるように、視界にタケヒロが入り込んだ。そしてボサ・ノヴァを踊り狂った。
「ひいいいいいい」
強く、激しく、美しいボサ・ノヴァのリズム! 合わせて椅子が鍋の方へと傾き始めた。ぐつぐつぐつ。耳を沸騰音が掻き立てる。ぐつぐつぐつぐつぐつ。グレンの体がじわじわと湯の方へ滑り始める。必死に踵を引っかけて堪えているグレンの横を、季節の野菜が滑り落ちていった。ぐつぐつぼちゃっ。ぐつぐつぐつぐつ。ああ無情。抵抗するグレンを嘲笑うかのごとくお湯の中に塩をひとつかみ入れると、トウヤは低い声で言う。
「悪いなグレン」
ぐつぐつぐつ。ずりずり。熱された飛沫がここぞとばかりに顔に飛び掛かってくる。古今東西さまざまな美女との一夜のラブロマンスがグレンの脳裏を駆け巡った。走馬灯、である。
それでも彼が最期に聞いたのは、むさい男の一声であった。
「僕の客は、ずっと一人だけなんだ」
ぼちゃーん。
絶叫がしばらく轟いて、消えた。
*
おいしかったか? という甘やかしの声に、ハリはこくりと頷いた。その口元には、何とは言わないが、何らかの肉片がこびりついている。白いテーブルナプキンでそれを拭いながら、トウヤは微笑んで頷く。
「お前が喜んでくれてよかった。働き甲斐があるよ」
時刻は既に夕方だ。店内で起こることを見られないように大きな窓は取り付けられていないが、天井の四角い採光窓から注ぐ光は蜜色に近い。
トウヤは一旦店を出ると、ドアの取っ手に『CLOSED』の札を掛け、ふと軒先に掲げた店名を見上げた。
『Salon de Cactus』――サボテンの店。サボテンのためだけの店。
今日もいい仕事が出来た。満足気に微笑む。店内に戻ろうとドアを引いたとき、出し抜けに、「ちりんちりーん」と声がした。
呼び鈴はつけていないのに。振り返ると、そこには制服にローブ姿のレンジャーと、それに抱えられたチリーンが立っていた。
……目を細める。「ちりんちりーん」と言ったのはどうやら彼女らしい。トウヤはドアを閉め(再びレンジャーの「ちりんちりーん」)、掛けた『CLOSED』を指し示した。
「悪いな、今日はおしまいなんだ」
「そう。出番ないのは惜しいなと思ったんだけど」
ポケモンのトリミングもやってるんだって? そう問う彼女の胸元に抱かれたチリーンは、なるほど、もうもうと毛が伸び放題で、苔が生えて緑がかり、まりものようになっている。
知り合いの頼みなら仕方ない。トウヤは無駄にドアを開け閉めしてレンジャーに六回「ちりんちりーん」と言わせてから店内に招き入れ、毛まみれのチリーンを椅子に座らせた。
「整えたらいいのか?」
涎を垂らして大人しく目を見開いているチリーンの毛にハサミを入れる。それを背後で眺めながら、レンジャーはおもむろに腕を組み、まだそこに置いてあった巨大な鍋に軽く寄りかかった。
「あなた、トリマー資格持ってるの?」
軽快に響き続けていたハサミの音が、止まる。……トウヤは振り向き、客向けの表情で微笑みかける。が、目は笑っていない。
「持ってないよ。トリマーになるのに免許はいらないはずだ」
「じゃあ、美容師免許は?」
「いや? 僕は人の髪なんか切った事ないよ。ここが美容院だと、一度でも僕が言ったのか?」
捕まる寸前の犯人らしい台詞を吐き、トウヤはドヤ顔を浮かべた。レンジャーはカツカツと店内を歩くととある観葉植物の鉢植えの前に立ち、それを持ち上げて逆さにした。大量の土と共に観葉植物が根こそぎ床に放たれた。
鉢植えの上下を戻す。そして回す。……側面(鉢植えの中身、つまり罪のない観葉植物とは何ら関係がない)に張り付けてあった盗聴器を外し、その場で先刻の会話を再生させる。
「ついに就職したと聞いて来てやったぞ。なかなか良い店じゃないか」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
営業スマイルで返すトウヤに、グレンもまた爽やかに問うた。
「床屋か」
「美容院だ」
「美容院だ」
……トウヤは黙って微笑んだまま、大人しく手錠をかけられた。
レンジャーが手錠をかけたトウヤを連行する。屋外へ出ると、ミソラとタケヒロと『ドッキリ大成功!』の看板を手にした無傷のグレンが笑顔で待ち構えていたが、その前も普通に素通りした。
行く先にはカボチャの馬車ならぬチリーンの馬車が待ち受けている。それに乗りこませようとした時、突然トウヤが、笑い声を立てはじめた。
「ふふふふふふふふ」
異変を察してレンジャーが素早く抑え込もうとするが、遅い。ずるりと溶けた腕が簡単に手錠をすり抜けた。
レンジャーが悲鳴を上げ腰を抜かした。トウヤはぬるぬる溶けたかと思うと急激に光を放ち始めた。
「ふふふふふふふふっふふふ」
「お師匠様……!?」
ミソラが、タケヒロが、そして『ドッキリ大成功!』を掲げたままのグレンが、こぞって駆け寄る。駆け寄ろうとしたグレンが背後からチリーンに羽交い絞めされた瞬間――光に包まれ、次に現れしはオニドリル。トウヤだと思っていたものは、ずっとメグミだったのだ。
背景で無駄に関節技をキめられてもんどりうっているグレンはさておき、メグミは上下のくちばしを激しくカチカチさせながら笑っている。まさかの展開にタケヒロはボサ・ノヴァを踊った。一方でまさかの展開に顔面蒼白で心神喪失状態のレンジャーを庇うように、ここぞとばかりにミソラが前へ出た。主人公の本領発揮である。
「お師匠様を、どこへやったんだ!」
まさに主人公らしい台詞が決まった。びしっと決めポーズ。背景に稲妻が迸った。カチカチとしばらく笑い続けたメグミは、ふっと突然笑うのを止めると――世界の全ての真実を見透かすような愛らしい目で、ミソラを見据える。
この時ミソラは、まだ決めポーズを決めたままであった。……そして、知らないのであった。己を取り巻くこの更新分が、そのポージングが、いかに嘘だらけで、面白くもなんともなくて、故に恥を知れ状態であるのかを――
「いいよ。話してあげる。あれは、わたしとトウヤが結婚して間もない頃のことだった……――」
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本物は近いうちにまた更新するのでよろしくお願いします(小声
あと今年はひきものやらないので!宣言!別のイベントで本気出す!!!
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