忍者ブログ
Always Look on the Bright Side of Life
2024/04月
≪03月  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30   05月≫
[1190] [1189] [1188] [1187] [1186] [1185] [1184] [1183] [1182] [1181] [1180
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



ちょっと前(9月12日だそうだ)にこんなもん書いていたのを思い出しました。


↓追記短文ポケモン1500字






めにみえる あいての かおや うごきの モノマネを することで どんな きもちか わかろうとする。



 これはもう、もう、怒った。怒った怒った、と言いながら、マッギョはひたひた詰め寄った。狭い薄暗い店内に、ひらひらひらと舞い降りるは、白い埃、そして埃。商品棚の上に積まれた段ボールのその上で、招かざる小さな来訪者は、ケタケタケタと笑っている。
「おいちゃん、マッギョのおいちゃん」
「降りてこんかい、え。電撃出してもええんかいな」
「電撃! 電撃!」
 我慢ならん。びりっと電気を発しながら、マッギョはニタァと顔を歪めた。電気を作ろうとするとき、ニタァと笑ってしまうのは、マッギョの生来の癖なのだ。すると、小さいのもニタァと笑う。あれは顔真似を好むのだ。
「やめんかいその顔」
 そのニタァを見ていると、力が抜けて、うまく電気が放てない。あれはちゃっかり心得ていた。
 ぴゃははと笑いながらそれが段ボールを渡り歩くと、更に埃が舞い散った。そしてぐらりと傾く紙箱。棚の最上部から崩れ落ちてきた箱の中身のリールの山が、次々マッギョの頭を殴る。そして殴る。店は釣り具屋であって、マッギョは看板魚であった。店主の老爺が居眠りをする時、ドアマットのようになってこういった招かざる者を警戒するのは、マッギョの生来の務めなのである。
 怒り心頭で放ったどろばくだんはしかし、ちびの飛び避けた先に天井から下がっていた古いテレビを打ち抜いた。ぴゃーんと音を立てて液晶が砕けた。だどもマッギョのせいではない、全面的に悪いのはあれだ。悪いのはあれと、随分前から決まっている。こうして小童とまみえるのは、そうして被害を被るのは、つまり初めてのことではない。実に二十と七回目である。
 そのマネネが初めてドアマットのマッギョ、つまりドアマッギョを踏んだのは、あれはもう忘れもしない、二十と七日前の事。開け放たれた扉の前で、右を窺い、左を窺い、したり顔で舌をぺろっと覗かせながら踏み込んできたマネネのことを、マッギョはもう生涯忘れることはないであろう。ドアマッギョを踏み、途端びりりと痺れて、おおうっふっと叫びながら逃げて行ったいたずらマネネは、次の日にはもう、ドアマッギョの上をすいっと飛び越えて釣り具屋への侵入を成功させた。したたかな小童なのである。
 リールの箱とリールの箱とリールの箱を崩壊させて、どろばくだんの二度目の襲撃をかいくぐったちびっこはミャハハと笑いながらアイスショーケースの戸を開け中に飛び込んだ。その秘境から悲鳴が聞こえた。ジタバタもがきで開いた隙間から蹴り散らされてくる釣り餌のワームやエビや貝を、ここぞとばかりにマッギョは頬張る。すっ飛んできたサビキ餌袋はわざわざ開封しこれもまた頬張る。事故である。大事故である。ここまで騒がれておきながら、未だにカウンターで船を漕いでいる老爺の事は、誰もが敬わざるを得まい。
 冷気の漂うショーケースから、そろそろと小僧は顔を覗かす。懺悔のニタァである。目は半月型である。
「反省してます」
「うむ」
「もう、びりびりしない?」
「うむ」
「どろんこも?」
「うむ」
「……アンコール、アンコール」
 囁きながらリズミカルに手を叩かれると、怒りのままにマッギョはどろばくだんを放射した。
 一弾目を踊るように華麗に避け、二弾目がクリーンヒットしてマネネはぶっ飛び商品棚に激突した。ばらばら落ちるは釣り針、釣り針、また釣り針。篠突く釣り針をひらりふわりと避けながら飛び着地したその先は、居眠る老爺の禿頭の上である。ヨガのポーズ! と高らかに宣誓しながらそこでポージングを決めたマネネへ、マッギョは惜しみなくどろばくだんを噴射した。危うく直撃は免れたが、ぴしぴしと顔に泥喰らいながらも老爺がまだまだ目覚めないのは、最早神業としか言いようがない、無論マッギョの。
 しかしまあ、二十七回目の抗争も間もなくフィナーレの頃合いか。展示の釣竿を振りかざし凄ぶるテクニシャンぶりで老爺の丸眼鏡を釣り上げたところで、ぴくっとその瞼が痙攣した。がっと起き上がり老爺は俊敏に魚網を掴むと喚きながらそれを振るった。網の一閃に、マネネは帽子の先を取られながらも寸でのところで下に滑る。滑ってきたところをマッギョの体が引っ掛けた。おっとっとと言いながら反動で体が持ち上がると、宿敵はそのまま店外へと転がり出ていく。
「おいちゃん、それでは、また明日ぁ」
「もうこんでええわい」
「えー、でもさおいちゃん、嬉しがってるからなぁ」
 何を根拠に、と言ったところで、マネネはくるりと振り向いた。
「だって、おいちゃん、こんな顔してるんだもの」
 それでもって、ニタァと小僧は笑って見せた。





***

……だからなんだって話ですが( 思い出したから貼っただけです。お粗末さまでした。
マネネのこの図鑑設定ちょっと気に入ったので気が向いたら何か真面目に書きたいですがまぁ言っているだけですね。だけです。。。

拍手

PR
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
pass
secret (チェックを入れると管理人だけに表示できます)
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アンケート
最新コメント
[06/03 きたのとら]
[06/03 浮線綾]
[03/08 すなば]
[11/12 もの]
[07/20 Brandonmub]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
北埜すいむ
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
神谷さんが好き。それ以外に説明はいらない。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析

Powered by Ninja Blog
template by Temp* factory    phot by FOG.
cat of model by Cat Cafeねころび

忍者ブログ [PR]