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トリックオアトリックwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


鈴鹿誕生日おめでとうでも月蝕だごめん^^ω^三^ω^しかも一日遅れた




*ついきーげっしょくハロウィン特番
*すっごいすっごい粗末なので
*無理して読まないで下さ
*番外編ではなく特番なので






「――えっ、食べちゃうんですか、それ」
 子供の問いかけに、眠たげなふわふわした声色で男は返事をした。
「ああ。僕も毎年、勿体ないとは思うんだけど」
 そう言いながら滑る指先は、つやつやとした橙色の、丸みを帯びた造形の上。食べる分には普段あまり見ない色のカボチャだ。彼がどこからかそれを仕入れてきたのは三日前になる。それから殆んど不眠不休で――と言って差し支えないくらいの熱心さを以て完成させたその『ランタン』、事が終われば崩して食べてしまうのだと言うのだ。
「勿体ないですよ」
「だよな」
「どこかに飾っておくとか……ほら、こうやってお店に置いておけば、とってもかわいいですし」
 そのランタン、昼間はたくさんの(それもまたお手製の)クッキーを詰め込まれてココウスタジアムまで出張させられていたのだが、今はハギの酒場のカウンターの上に落ち着いて、中にはずんぐりむっくりなキャンドルが明かりを灯している。丸くくり抜かれたてっぺんの縁をついついと撫でながら、でもな、とふらついた声を零す男の横顔は、けれども幾分満足気でもあった。
「生ものだし」
「まぁそうですけど」
「これはハリだからなぁ……」
 閉店後の薄暗い店内の端の方に座っていたハリが、重たそうに面を上げた。
 ……ちょっと意味が分からなくて、ミソラは続きを期待して黙っていた。こちこちとどこからか、多分一階のおばさんの部屋からだけど時計の秒針の音が聞こえて、その空間、ひいては屋外の通りの静けさまで物語っている。記念日と言え、ご先祖の霊がどうとかこうとかで、あんまりお祭り騒ぎする感じの記念日ではないのだそうだ。そもそもこの辺境の町には、そういう異文化の風習なんてものを知っている人はあんまりいない。
 黙って待っていると、相手も延々と黙っていた。それどころか、右手でカボチャランタンを撫でながら左腕で頬杖をついていたトウヤがこっくりこっくり船を漕ぎ始めたので、ミソラは慌てて言葉を継いだ。本当に不眠不休に近かったのかもしれない。
「ハリなんですか、これ」
「……あー、うん」
 ほとんどうわの空な返答をしながらも、呼ばれた相方が傍までやってくると、トウヤはカボチャに触れていた手をちゃっかりハリの頭へ移し替えた。
「……ハロウィンというのは」
「はい」
「西洋では……いや、まず、なんとかランタンと言うお化けがいて……」
 天国にも地獄にも行けなかった男の怨霊(?)であるらしいのだが、その姿は、とてもノクタスに似ているのだと。ノクタスの亡霊とも言われるくらいに。ハロウィンは、悪魔に唆されたノクタスがそのなんとかランタンへと移り変わってしまいかねない日であるから、カボチャで身代わりのノクタスを作って、それを生贄(粉砕して食べる事らしい)とすることは、ノクタスやサボネアを連れるトレーナーの絶対の役目であるのだ――酔っぱらってぐだぐだになっている時と同じくらいの支離滅裂であった彼の説明を要約すると、つまりそういうことらしい。即ち、今からこのかぼちゃランタンは、ハリの代わりに悪魔の犠牲となるのである。
 それにしたってやりすぎだ、とミソラは心の中で思う。
 ……かぼちゃランタン、とここまで簡単に呼んでは来たが、それだけの言葉で表してしまうのはこの作品に失礼である。面倒なので細かい説明は省かせていただくが、そのノクタスの体現度が、馬鹿が付くくらいに緻密すぎるのだ。これはハリだからな、と言われれば、まぁそれはそうですよね、と認めざるを得ないくらいに。中におやつを入れるために脳天に開けてある穴の上にはそれを覆い隠すようにノクタスの帽子(かぼちゃの葉っぱを継ぎ接ぎして作っているようだ)が着脱できるし、体の部分(そもそもランタンに体なんか不要なはずである)はカボチャの蔦だかなんだか分からないもので複雑に編み込まれてがっちり頑丈に作り上げられているのだから何かおかしい。多分芸術品とか評しても差し支えない。制作を終えたその朝の第一声「七十五点くらいだな」なんか、まさにそれを表している。それとはつまり、こだわりの強さだ。匠と呼べる域でさえある。
 その手先の器用さを、どうしてこう無駄なことにしか発揮できないんだろうねぇ。これは、おばさんの言葉だ。ランタン制作が終わるとすぐさま焼き菓子の大量生産に移りつつ完全に深夜テンションに陥っていた師匠の背中を、朝ごはんを食べながら、ぼやくおばさんの横でミソラは心配して眺めていたのであった。
「だから、その、僕はだな」これから、と言いながら、男は雑に手刀を掲げた。「この偽物をまず砕いて……」
 キャンドルの燃えるかぼちゃに振り下されかけた手はひとまずハリが制した。ミソラは立ち上がり、流しの脇に乾かしてあったものを暗闇から探り当てて戻ってくる。木製の棍棒だ。
「お疲れ様です、これやっちゃったらゆっくり寝てください」
 ミソラから受け取った棍棒を弄ぶ手は、滲む疲労で覚束ない。
「いや、まだだな。ハロウィンは、二日がかりなんだよ」
「えっと……多分四日目ですね」
「今日と明日だ。パンプキンパイを焼いて友人に配るところまでが、ノクタスの『主人』の務め」
 ごめんな、と呟いて、偽物ハリの『口』から呼気を吹き込んで火を消すと、男は容赦なく愛の結晶へ暴力を振るった。







 ……う、そ? 目を真ん丸にさせたミソラが呟くと、グレンとその他取り巻き達は盛大に爆笑した。
 それだけ笑ってもトウヤは起きなかった。トレーナー控室の一番奥の長いベンチに横になって死人になっている立役者は、多分夕方まで起きないだろう、とこの悪い友人が太鼓判を押していた。毎年こうなんだそうだ。酷い時は一週間も自室に閉じこもっていたらしい。
「あの時のは傑作だったな」
「『三段重ね』だ!」
 何を重ねたのだろう。ミソラが解する術もなく部屋は思い出し笑いに満たされるばかり。
「お前が何を説明されたのかは分からんが、ミソラ」
「は、はい……」
「トウヤが知ってるのは全部俺が吹き込んだ『出まかせ』だ。下手に信用して余所で恥かくんじゃないぞ」
 くつくつと肩を揺らす喜色満面の大男は、ミソラに堂々とそう言った。むしゃむしゃとうまそうに、『出まかせ』から生まれたパンプキンパイを頬張りながら。
「『ポケモンのためだ』って言えばとりあえず信じるからな、コイツ」
「ガキの頃は可愛いもんだったが、こんだけデカくなってまでこうだと、さすがに引くわ」
「騙してる方も趣味悪いが」
 誰かが言って、ガハハとグレンが大声で笑う。
「騙し続けて十余年、こうなってくるともう、騙してる方も気が重いんだぞ!」
 しかしノクタスも食いもんも年々レベルが上がっていくよな――とパイを囲みながら騒がしく喋りつづけるココウスタジアムの面々に、ミソラはなんだか気分が悪くなった。人を恨んでしまうような、こういう類の嫌悪感はミソラがあまり感じることのないものだったから、そんな自分にミソラは随分当惑したが。浮かない顔をしている金髪の方へと宴の中から抜けてきたのは、やはりグレンだ。ホレ、とパイの一切れを差し出して。
「……いらないです」
「何だ。師匠の作ったものが食べられないのか?」
「そういう訳じゃないですけど……」
 無意識に唇を尖らせるミソラに、フッ、と急に、グレンは大人びた苦笑を浮かべた。
「気付いてるに決まってるだろ」
「え?」
「クリスマスだとかバレンタインだとか、いろんな行事ごとの度におかしい事言ってその度に引っかかってくれてるんだ、これがわざとでないなら俺も怖いわ」
 あれで意外とノリのいい奴なのさ、と彼を論じて、ひょいと立ち上がり去っていく背中。そんなもんかな、とミソラは寝ている人をもう一度見た。確かに、嫌々やらされているのなら、あんなに無茶苦茶に凝ったりこだわったり、楽しそうになんてできない……のかも。
 さてとオチだな、とグレンはひとりでに呟いた。普段ならこんなことは言わないが、それだってもう別に良い、深夜テンションっていうやつだ。そもそも本編中ではまだ春~夏までしかやってないからこういう秋冬イベントに正規でミソラを参加させることなんてできないのである。特番、それ即ちらくがきまんがと同レベルだ。だからもういい。起きてから後悔しよう。――そこまで考えて、ああ、自分の思考の不可解加減に、グレンは少し戦慄する。
 丹精込めて焼き上げられたパンプキンパイはついに最後の一切れとなって、その場の人間でそれを口にしていない者と言えば、たった一名に限られた。パイをいいように掌に載せて、グレンは壁に対面して立つ。目下には、ぽかんと口を開けて随分平和な顔で眠っている、この道十二年の匠の姿。
「……騙され続けて十余年」
 騙しているのは、果たしてどちらか。せーのっ、とパイを掲げて、グレンは弟分のその顔に、渾身の力で叩きつけた。





*読み返してない
*最後の数行とか投げたってレベルじゃない
*でも今年のハロウィンも完遂だな!!ハッハ!!!!((((((
*本当はちっさいグレンさんとちっさいトウヤで書くつもりだったとかいう話は
*もういいや おやすみなさいお粗末さまでした

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